天使と悪魔

01

「ヘイ、ガイズ! さあ今日も最高にホットなゲームの時間がやって来たぜ! 外縁地区総合チャンピオンシップ南第3予選トーナメント決勝戦、とうとうやって来た因縁の対決だ! 堂々王者の余裕を見せつけるのか海南町『パールス・ゲール』、今度こそ王者に膝をつかせることが出来るのか翔陽町『ヴェルデ・ビアンコ』! 泣いても笑っても勝負は一度きり、予選トーナメント最終試合、このゲームを制したチームがチャンピオンシップ本戦への出場権を勝ち取るぜ! さあ選手たちの入場だ!」

よく晴れた休日の午後、外縁地区の南、通称海町の中央広場は人で溢れかえっていた。普段から人でごった返しているけれど、今日は周囲の道路も通行止めにして観客席を置き、四方を色とりどりのパネルで囲い込んでいる。広場にはひび割れたMCの声がこだましている。

この総合チャンピオンシップは外縁地区にて年に一度行われる大会で、外縁地区の東西南北、さらに各地域を広さに応じていくつかに分け、そこから代表を選出してキングオブ外縁地区を決定する。競技は様々、増えたり減ったりはしょっちゅうで、個人競技から団体競技まで、競技人口よりは観客の人気が優先される。

この日の競技はバスケットボール。古い競技だが、装備がいらないこと、ボールひとつで練習できることが長い人気の礎となっていて、特に男性人気が高い。なおかつこの南第3グループは激戦区となっており、数多のチームがチャンピオンシップ出場をかけてしのぎを削っている。

さらに南第3グループ圏内のチーム、海南町の「パールス・ゲール」と翔陽町の「ヴェルデ・ビアンコ」はここ数年必ず予選勝ち抜けの決勝戦にて激闘を繰り返しており、しかもヴェルデ・ビアンコはパールス・ゲールに負けっぱなし。双方にはご贔屓さんがついており、やれ今年はヴェルデ・ビアンコが勝つだの、いいや今年もパールス・ゲールが最強だの、毎年盛り上がっている。

予選の間だけ臨時で置かれる選手控室は雑な作りで、まあ壁と屋根を倒れないように置いてある、という程度。その中でここ数年負けっぱなしの翔陽町代表チーム「ヴェルデ・ビアンコ」はひとかたまりになって真剣な顔をしていた。彼らはシンボルカラーが緑と白なので、全員その配色のユニフォームを着ている。

「また今年もここまで勝ち上がってきたけど、去年も一昨年もここで沈んできた。もういい加減オレたちが南第3を制してチャンピオンシップに出場してもいい頃だ。パールス・ゲールにはしばらく休んでいてもらおう」

静かに、しかしきっぱりとそう言い放ったのは、チームリーダーの藤真健司。彼は数年前からこのヴェルデ・ビアンコの中心メンバーとして活躍していて、ライバルであるパールス・ゲールのリーダーとは南第3の双璧として人気を博している。特にこの健司は見栄えもする選手で、女性人気も高い。

「チャンピオンシップで優勝すれば『上』の居住権も手に入ることがあるらしいけど、オレたちは何もこの外縁地区から抜け出すために戦ってるわけじゃない。オレたちが、ヴェルデ・ビアンコが最強なんだってことを証明するためだ。それを忘れるなよ。今年、南第3のあのトロフィーを手にするのはオレたちだ!」

健司の言葉にチームは「おー!」と声を上げる。総合チャンピオンシップで優勝すると公式に出る賞金商品だけでも相当なものになるが、それとは別に大会の外でも様々な恩恵に預かることが出来るらしい、という噂だ。しかし健司率いるヴェルデ・ビアンコは即物的な恩賞よりも、名誉を重んじる。

そろそろ入場だぞと控室の外から声をかけられたチーム・ヴェルデ・ビアンコはメンバーそれぞれがハイタッチを交わし、順々に出ていく。途端に割れんばかりの歓声が彼らを包み込む。リーダーである健司は最後に出ていくので、彼は控室の片隅で腕組みをしていた。その健司の後頭部をペシッと叩く手があった。

「痛てっ――なんだよお前か」
「お前かはないでしょ。今年こそ勝ってよ」
「そんなことわかってるよ。てか今オレもそう言ってただろうが」
「去年も一昨年も同じこと聞いたけど勝てなかったじゃん」
「うるさいな、試合前で集中してんだから余計なこと言うなよ」

健司の後頭部をペシッと叩いたのは同年代くらいの女の子だった。健司たちのユニフォームとは関係なく、しかしやはり緑と白をあしらった服を着ており、胸には「ヴェルデ・ビアンコ」の文字が踊る。また腕には腕章がかかっており、つまり彼女はチームの公式スタッフということになる。

、もし勝ったらどうする?」
「もし勝ったらって、弱気な言い方」

女の子をと呼び、ふたりの前に現れたのはチームの一員でサブリーダーの花形。いわばヴェルデ・ビアンコのナンバー2であり、ゲームでは監督も務める健司に代わってチームのまとめ役も担っている。やたらと背が高いので、も健司も彼を見上げている。

「そういう意味じゃなくて、今日勝ったらは何してくれる? って話」
「私が用意しなくても翔陽町は既に祝勝会の準備してるよ。ゴーグル用意してある?」
「ゴーグルって、まさかビールかけするのかよ」
「そりゃあ勝ったらビールかけだろ! ってみんな盛り上がってたからね」

翔陽町はそれほど大きな町ではないのでスポンサーもなく、自治会が主導してチームを支援している。こうした祝い事なんかは祭り好きなおじさんたちが仕事放り出して取り仕切ることが多く、その辺はチームのスタッフであるも丸投げして任せている。彼女の役目は基本的に選手に関わることだけ。

「じゃあ私スタッフブースにいるからね。絶対勝ってね!」
「おう、任せろ。勝ってチャンピオンシップ行こうぜ」

は健司花形とそれぞれハイタッチすると、さっさと控室を出ていった。チームの公式スタッフは専用のブース内に入るルールとなっていて、コートサイドのベンチには入れない決まりだ。

……そういう意味じゃなかったんだけどな」
……一応念のため聞いておこうか。どういう意味だ」
「そりゃお前、勝ったら藤真にナニしてくれんの、って意味」
「だろうと思った」

ニヤリと口元を歪めた花形を見上げていた健司はため息とともに頭をガクリと落とす。

「もういい加減『勝ったら私を好きにしていいよ』とか言い出してもいい頃なんだけどな」
「お前は、あのが、そんなことを言い出すと、本気で思ってんのか?」
「言い出したら面白いと思ってるから聞いてんだよ」
「言うわけねえだろうが、あいつが。いいとこ排気システムの再調整タダでやってくれるとか、そんなところだろ」

ニヤニヤ顔の花形に対して、健司はしかめっ面である。

「お前も言ってみりゃいいのに。今度勝ったらデートしてとかなんとか」
「言うかバカ。試合前だぞ、集中しろ!」
「去年もそう言って負けたからな。少しリラックスした方がいいと思うぞ」
「つまんねえ話でリラックス出来るか! ほら、行くぞ」

まだニヤニヤしている花形の尻を蹴り上げた健司は、大歓声の中をコートに出ていく。今年も南第3グループの決勝戦の観客は超満員、聞くところによると、試合の間は店を閉めてしまうという人もいるらしいし、他の地域からも観客が押し寄せるという話だ。

長年のライバル同士が今年も対決、というカードは面白いに決まっている。

「クレバーなゲームにクールなルックス、今年もかっこいいぜリーダー、藤真だー!」
……見た目は関係ねえだろうが」

ひび割れたMCの声に毒づいた健司は、観客に向かって笑顔で手を振ることもなく、黙々とコートに入る。

面白くないけれど、昨年南第3の優勝はパールス・ゲールの方なので、健司たちヴェルデ・ビアンコの選手の入場が終わってから、パールス・ゲールが入ってくる。パールス・ゲールも今年は良い新人が入ったとかで、ファンは随分前から勝利を確信していると吹聴していた。

「ふん、パールス・ゲールに賭けたやつら、今年は大損させてやるからな」
「こっちが勝ったらヴェルデ・ビアンコに賭けた人は相当な配当になるらしいな」
「どいつもこいつも……今に見てろ」

そういうパールス・ゲールファンの地道な活動が功を奏したか、中央広場の近くにあるブックメーカーではパールス・ゲールが圧倒的人気で、今年ヴェルデ・ビアンコが勝ち、なおかつヴェルデ・ビアンコに賭けていたら配当金だけで外縁地区から出られるかもしれないと笑われていた。

渋面の健司の目の前にパールス・ゲールの選手たちが続々と入場してくる。彼らのシンボルカラーである紫と黄色が目に痛い。本日観客席も双方のシンボルカラーで真っ二つ、ファンもヒートアップしている。

そして幾度となく健司をねじ伏せてきたパールス・ゲールの絶対的リーダーが入場してくると、中央広場は地響きのような歓声に包まれた。彼もパールス・ゲールを抱える海南町のヒーローであり、総合チャンピオンシップでも上位に食い込むちょっとした有名人である。

「あの野郎今度こそブッ潰してやるからな」
「今年は海南町のパブでチャンピオンシップ中継眺めさせてやる」
「新人がどうした、オレたちはもう何年もこのメンバーでやってきてるんだ」

パールス・ゲールに負けっぱなしのヴェルデ・ビアンコなので、勢揃いした敵チームに鼻息が荒い。

「よし、今年こそ勝って、みんなで祝勝会と行こうぜ!」
「おお――!!!」

レフェリーの合図を聞きながら、健司たちはコートに駆け出していった。

「オレは采配ミスだったとは思わねえよ? ありゃ身体能力の問題だよ」
「それで言うなら今年は高さでうちに勝てるチームなんかいねえんだよ?」
「高さじゃねえよ、バスケットってそれだけじゃねえだろう。お前さん予選の他の試合見てなかったんか」

翔陽町のほぼド真ん中に位置する通称噴水広場、その噴水を取り囲むように立ち並ぶ店舗の一角が、パブ「フォンタナ」である。ヴェルデ・ビアンコの本拠地としてチャンピオンシップ事務局に登録されている店だ。の言っていた祝勝会が準備されていたので、壁際に酒の樽が山と積まれている。

そこで町内のおっさんたちがブツブツ言うように、ヴェルデ・ビアンコは今年もパールス・ゲールを破ることなく、予選敗退。総合チャンピオンシップへの道は絶たれた。

しかし試合結果は6点差であり、ほんの数秒の間の出来事が違っていたらヴェルデ・ビアンコにも充分勝利のチャンスはあったのだ。熱心なパールス・ゲールファンは一方的にヴェルデ・ビアンコをねじ伏せるゲーム展開を期待していたし、パールス・ゲールというのはそもそもそういうチームとしての歴史が長い。なのでそれに食らいつき最後まで苦しめたヴェルデ・ビアンコには惜しみない拍手が送られた。

だが、ごくごくローカルな、そしてとても熱心なヴェルデ・ビアンコファンのおっさんは酒が入るとグチグチ言いたくなってしまうというわけだ。もちろん彼らも選手たちを責めるような真似はしない。選手たちといっても、みんな翔陽町に住む少年青年たちにすぎないからだ。

そして、そのフォンタナの片隅で健司はテーブルの上にべったりと突っ伏して呻いていた。向かいには花形。

……お前帰らなくていいのか」
「今日泊めてくれ」
「それはに聞け。あと管理局に連絡入れるの忘れるなよ」

盛大なビールかけを含む祝勝会のはずが、今年も残念でした会になってしまい、ふたりはまだぐったりしている。実に惜しい試合だった。最終的には負けたけれど、パールス・ゲールのリーダーが肝を冷やすような場面もあったし、鳴り物入りの新人は確かに即戦力にはなっていたけれど、健司には及ばなかった。

しかし負けたからといって謝るのもおかしな話だ。健司たちは連敗に次ぐ連敗という結果を背中に背負って翔陽町まで戻ってきた。町の人々は彼らを暖かく迎え入れてくれたが、選手たちは礼を言って頭を下げただけで、笑顔で乾杯できる状態ではなかった。

そういう残念会なので、町内サポーターの皆さんや選手たちもやがてパラパラと店を出て帰宅、そろそろ日付が変わろうとしているフォンタナの店内には真っ赤な顔の酔ったおっさんたちと、健司と花形が残された。そこへ緑色の布の束を腕に引っ掛けたがやってきた。彼女はまだ公式スタッフの服のままだ。

「ただいま。花形、帰らなくて平気なの」
「今日泊めてほしいんだけど」
「いいけど、例のボロいマットレスしかないよ。疲れが取れないんじゃないの」
「いいよ取れなくても。明日どうせ休みだし」
「休み取ったのかよ! いいよな金持ちは」
「別に金持ちじゃない、前から2日休み取ってただけだ」
「それじゃそろそろ帰ろうか? おじさんも疲れてるだろうし」

は店の奥を振り返りながら椅子に腰を下ろし、隣の健司の背中を静かに撫でた。

「もういいのか、それ」
「ああ、うん、全部回収してきた。あんまり引きずらない方がいいと思って……
「大変だったな、ひとりで」
「大丈夫。スタッフの仕事だから」

は残念会が少し落ち着いたところでフォンタナを出て、噴水広場近辺の「ヴェルデ・ビアンコ公式サポーター店」をすべて回り、各店舗に掲げられていたヴェルデ・ビアンコのフラグやタペストリーを回収してきた。ついでに応援ありがとうございましたご期待に添えず申し訳ありません、と頭を下げてきた。

誰もを責める人はいなかった。惜しかったね、近年稀に見る名試合だったよとみんな慰めてくれた。

しかしそんな風に優しく受け止めてくれるのもつらい。ヴェルデ・ビアンコの仲間たちがそれぞれ早くに残念会を後にしてしまったのも無理はない。健司と花形が最後まで残ったのは、気まずい労いの言葉を選手たちに代わって全て受け止めるためでもあった。おかげさまでベコベコに凹んでいる。

は席を立って店の奥に顔を出し、店主にそろそろ帰ると言って戻ってきた。

「見て、おじさんこんなにごはんくれたよ。明日1日これで過ごせちゃうね」
……、帰ってから飲みたい」
……少しだけならいいよ」

店主から預かった大きなバスケットを胸に抱いたは、のろのろと顔を上げてぼそりと呟いた健司の背をまた撫でて、ため息とともに頷いた。花形も泊まるというし、帰ってからもうひとぐずりして、それから寝るコースだ。今日は付き合ってやるか。

3人は最後まで残っていたおっさんたちの呂律の回らない言葉に送られてフォンタナを後にした。フォンタナから健司とが住む家までは10分程度の距離。翔陽町の中心部の一角にある4階建ての家だ。ふたりはかれこれ5年ほどその2階部分に住んでおり、花形や他のヴェルデ・ビアンコの選手もたまに遊びに来る。

昼間予選で大騒ぎしたので、今日は誰も彼も疲れている。しんと静まり返った町をほぼ無言で通り過ぎた3人は家に帰り着くと、ダイニングで飲み始めた。3人とも普段は酒を飲む習慣がないが、こんな風にして特別な夜にはが買い置きしてある酒で少し楽しむ。

今夜はも口うるさいことは言わず、まだ凹んでいる様子の健司と花形をテーブルに着かせると、黙って酒を取り出し、フォンタナの店主からもらった料理を少し取り出して並べる。今夜祝勝会で振る舞われるはずだった料理の残りだ。食べ残しではなく、おそらくは勝利を祝う盛り付けにでもしてあったろうものだ。

「悪いな、付き合わせて」
「一応これでもチームの一員と思ってるんだけどね」
「そりゃそうだ。だから悪いと思ってるんだよ。面倒ごとは全部押し付けてるみたいで」
「いいよそんなこと。来年パールス・ゲールに勝ってくれればそれでいい」

突然泊めてくれと押しかけた手前、申し訳なさそうに気遣う花形には緩く笑ってグラスを差し出した。

「少し休んだらまた練習再開しようね。雨季でも使えるコートがほしいなあ」
「フォンタナのご主人がいつものコートに屋根をつける募金を募ろうかって」
「でもなあ……既に町のみんなにはたくさん助けてもらってるわけだし……

ヴェルデ・ビアンコは毎日のように噴水広場の東側にある空き地で熱心に練習をしているが、屋外なので雨が降ると何も出来ない。ちなみに宿敵パールス・ゲールは専用の練習場を持っているという話で、健司たちはそれも気に入らない。町の規模も海南町の方が大きい。

しかしヴェルデ・ビアンコの選手たちがそういう環境で練習をしているということは翔陽町の住民たちは百も承知で、常々いつでも好きな時に練習できる場所を作ってあげたいと考えている。しかし先立つものがなければ何も出来ない。の言うようにもう既に色々助けてもらっているので、予算の上乗せは厳しい。

例えばユニフォーム、選手たちの靴、総合チャンピオンシップ運営事務局への登録料、予選の参加費、そして自主的な楽しみのためとはいえ、さきほどの祝勝会だのという宴席の費用。これら全てヴェルデ・ビアンコを応援している住民の方々の寄付で成り立っているのだ。

のみならず、翔陽町の人々はチーム・ヴェルデ・ビアンコを愛し、誇りに思っていて、フォンタナで管を巻いていたおっさんたちなど、普段から選手がフラフラしているのを見かけると、とっ捕まえて食事を振る舞ってくれたりする。いい加減勝てとプレッシャーをかけることもないし、だから余計に敗北がつらい。

ぼんやりと飲んでいる健司をよそに、気を遣っているのか、花形はと他愛もない話を続けていた。やがてが酒を引っ込めると健司と花形は大人しくねぐらへ向かう。の指示で花形はボロいマットレスを引っ張り出して寝床を整えた。身長の関係で足がはみ出すが、本人が気にしていないようなので構わない。

「じゃあおやすみ。もし朝イチで出るつもりなら、声かけてね。ゲートまで行くから」
「悪いな、そんなに早く起きないから大丈夫だと思うよ」
「フォンタナの朝ごはんもあるしね」

そしてお疲れ様と言って花形にハグしたは、後ろからのろのろやってきた健司の背をするりと撫でた。

「どう、寝られる?」
「平気。疲れてるから寝られると思う」
…………健司は本当に頑張ったんだよ」

花形が先に寝床へ行ってしまったので、は声を潜めて撫でる手に力を込めた。

「健司が劣ってたからとか、怠けてたとか、そういうことじゃないからね」
……すまん、また本戦に行かれなくて」
「そんなこと思ってないよ。健司が諦めない限り、私も諦めないから」

悔しさや苛立ちや悲しみが疲れた体の中でぐちゃぐちゃに混ざり合い、健司はを引き寄せた。は健司の背をポンポンと叩き、健司はまたの耳元で「ごめん」と呟いた。

「来年はきっと勝つから。パールス・ゲールに勝って、チャンピオンシップに出よう」

健司の耳元で、微かにの声がした。約束ね、そう聞こえた。