〈着信〉
………………何時だと思ってんの
3時
明日死ぬほど後悔させてやるからな
わ、ちょ、待った! ~
うるさいな、なんなの
怖い夢、見た
………………獏さんに食べてもらおうね~獏さんにあげますって言うんだよ~
ほんとに怖い夢見たんだって。冷や汗びっしょりで
私きっと夜中の3時にそんなことで起こされるっていう悪夢を見てるんだな……
頼む、ちょっとでいいから顔出して
はい?
そしたら帰るから
……は? ちょっと待って今どこにいるの
んちの前
通報するから切るね。じゃ
ちょちょちょ、待って、頼む、ほんとに怖かったんだよ
なんなのも~
〈窓を開ける〉
……
ほんとにいたよ
マジで目が覚めた時どっちが夢でどっちが現実なのかわからなくて
ふああ……どんな夢見たの
が、いなくなる夢
え
体育館の外が崖になってて、そのギリギリのところにが立ってて、地面が崩れそうだし危ないからこっち来いって言ってるのに、戻ってこなくて、それで「私なんかいらないんでしょ」って言いながら、飛び降りちゃうんだよ。……人の名前呼びながら目が覚めるなんて、初めてだった。汗びっしょりで、心臓がドキドキして止まらなくて
……でも、夢でしょ
それを確かめたくて、来ちゃった。すまん
……いいけど
……、ほんとにいるよな?
え、うん……
オレお前のこといらないとか思ってないからな
わ、わかった
ていうかむしろお前がいないのとか無理
ま、マネージャーだからね
マネージャーじゃ、なくても
……落ち着いてよ、そんなに怖かったの
だからそう言ってるだろ
ちょっと待って、そっち行くから
〈、外に出る。飛びつく藤真〉
……!
……いなくなって、ないでしょ
……ホッとした
私なんか、なんて思ってないし、飛び降りないし、藤真が戻ってこいって言ったら、私行かないから
ほんとにごめん、でもマジで死ぬほど怖かったんだよ
もう平気? また寝られそう?
……がいれば寝られるかも
……いいけど
あはは、そうだ――え!?
大きな声出さないでよ。うちの親朝早いから……朝練休んでもいいなら、寝てけば?
え、マジで?
ベッド、ひとつしか、ないけど。それでもいいなら
……うん、寝てく
〈のベッド〉
朝まで起こさないでよ
やばい、オレ寝られないかも
……私が怖い夢見るかもしれないから、待機してれば?
……うん、そうするわ。起こしてごめん、おやすみ、
END